ご縁婚  お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?

 「希代美さんも沙希ちゃんも、お疲れ様。さぁ、今日は茉奈ちゃんの好きな物だらけよ! たくさん食べてね」

 日奈子さんが、そういうとすっかり場は整い、お誕生日会と言う名の家族の夕食会がスタートした。
 確かに、今日の食卓は私の好きな物ばかり。

 ナムルに角煮と煮卵、シーザーサラダにタイのカルパッチョ、ご飯に、サツマイモの味噌汁。
 好きなものだらけ。
 そこに沙希ちゃんの好きなフライドポテトに、焼きトウモロコシもある。
 沙希ちゃんは二歳半になり、お喋りもだいぶはっきりしてきてかわいい盛り。
 初孫である伯父夫妻も、叔母になる私もすっかりメロメロなのだ。

 「茉奈ねぇ、おいちーね!」

 ポテトをガシッと掴んでもぐもぐとほおばる可愛い姿に、私はニコニコと返事を返す。

 「本当に、美味しいわね。さすがは日奈子ばぁばよね」

 日奈子さんは名前にばぁばと呼ばせているので、最近沙希ちゃんが居ると私もそっちで呼んでしまう。

 「ふふ、二人とも喜んでくれて嬉しいわ。茉奈ちゃんも、もう少しこっちに、頻繁に帰ってくれていいのよ?」

 一人暮らしに反対だった日奈子さんは、度々こうして私にここへの帰宅を促す。
 徒歩五分の距離の賃貸アパートなのに、それでも一人にするのは心配なのだという。
 もう、一人暮らしも三年になり、慣れてきたというのに。
 子どもが巣立った生活が寂しくて仕方ないらしい。

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