君のこと、欲しくない


「…しばらくお待ちくださいね」

若い女の人の店員さんに注文したところで本題に入りたいが、注文したのが来てからの方がいいのか…。


改まって話すことだしちょっと緊張する。


「あ、あのね、ももはちゃん」

「…え!?ねぇ、妃夏あれって陶山だよね?」


……ん?え、なに、エスパーなの?
わたしが話そうと思ってた人の名前が出てきてすごくびっくりしてるんだけど…

でもももはちゃんはわたしのことを見てない。わたしより後ろをじっと目を見開いて見ていた。


どうしたの、わたし話出そうとしてたんだけど!陶山くんがどうしたの、陶山泉がどうしたというの。

全然わたしの方を見てくれないからわたしも後ろを振り返る。


「…は、っえ?」


そりゃももはちゃんがそっちばかり見るわけだよ。


だって、だってね。
わたしが話そうとしてた彼がいるんだもん。


――――かわいい女の子といっしょに。


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