君のこと、欲しくない

｢え、ちょっと…！｣

焦る先輩。そりゃそうだよ、急にそんなこと言われたら戸惑うだろう。


わたしはこの2人が恋人同士だと思っていたがどういうことなのだろうかと思った。


そう考えているうちにガタッと音がして、

｢さよーなら、先輩｣

と陶山泉くんが言う。


｢っやば…！｣

ドアの前なんて、やばいよ。


どこかに逃げるしかないけど、こういう時わたしはすごく遅くて。


ガラッという音がして、

｢…あ、｣


やっぱり会ってしまった、本当に最悪、あの時のわたししっかりして欲しかった。


｢誰、俺今から用事あるから今日はむり｣

冷たい声でわたしにそう告げる陶山泉くん、そしてスタスタと廊下を歩いていってしまう。


｢…え、？｣

なんだったの、わたしのこと知らないだろうとは思ってたけどさ、

やっぱり危ない人だと思った。


｢……っ、ひっく…｣

泣いてる、たぶん先輩だよね。