エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 迫力に負けてとっさにそう返事をしたものの、私がいつ貴利くんのものになったのだろうと疑問が浮かぶ。

 私たちはまだ正式に結婚すると決まったわけじゃないのに。

 一方、私の返事を聞いた貴利くんは満足そうに頷いた。


「それならいい。時間がもったいないからデートの続きをしよう」


 そう告げた、貴利くんの表情が突然ピリッと引き締まる。そのままズホンのポケットからスマートフォンを取り出した。


「――はい、郡司です」


 嫌な予感がした。


「わかりました。すぐに行きます」


 通話を終えた貴利くんがスマートフォンをポケットに戻す。


「すまん、千菜。これから病院へ行かなければならなくなった」


 やっぱり……。でも、もともと今日はそういう可能性があったから仕方ない。


「うん、わかった。早く行かないと」

「また連絡する」

「はーい」


 その言葉に頷くと、なぜか貴利くんはじっと私を見つめている。

 もしかして、またいつもみたいに私が貴利くんからの連絡を無視すると疑っているのかもしれない。

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