エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 九月も半ばに入るというのにまだまだ気温の高い日々は続いている。

 温度計はあと少しで三十度になろうとしているが、明け放された窓から入り込む風は爽やかで、少しずつだけど秋は近付いているようだ。


「さてと、千菜ちゃんも起きてきたし、ママはお仕事に行ってきますね」


 母親はゆっくりとイスから立ち上がると、自分の飲んでいたカップを持って私のいるキッチンへとやって来た。その姿をよく見ればすでに出掛ける準備を済ませていたようで、清楚なワンピースに髪型もきれいにまとめられている。

 マイペースな性格の彼女だけど、こう見えて心理学者として活躍しているそれなりの有名人だ。雑誌の連載をいくつも抱えていたり、大学で週に二・三回ほど講義をしていたりと何かと忙しい日々を送っている。

 今日はこれから関西で開かれるセミナーの講師の仕事が入っているらしく、戻ってくるのは明日の夜遅くになるらしい。


「それじゃあ、千菜ちゃん。おうちのことはよろしくね。あなたの朝食は冷蔵庫に入っているから温めて食べてね」

「はーい」

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