エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
君のための選択



 *

 “結婚はやめよう”

 貴利くんとの結婚がなくなってしまった。

 理由を尋ねても貴利くんは『俺といても千菜は幸せになれない』と言うばかりで詳しく教えてはもらえなかった。

 もちろん私は納得なんてできなかった。でも、貴利くんは自分が決めたことをそう簡単に曲げたりしない頑固な人だと知っているから、それ以上私は何も言えなくなった。

 それに、突然、結婚をやめたいと言われたことに驚いたし、悲しくて、思わずその場から逃げるように立ち去ってしまった。

 後日、私たちの結婚が取りやめになったことがお互いの両親にも伝わった。貴利くんが自分の両親に話して、それからうちの両親に伝えられた。

 貴利くんのお父さんの史貴さんは『うちの息子がわがままを言って申し訳ない』と菓子折りを持ってわざわざ私の家まで頭を下げに来てくれた。

 そんな史貴さんも貴利くんがどうして私との結婚を突然やめると言い出したのか詳しくは知らないと言っていた。

 ただ、もしかしたらこれのせいかもしれないと思い浮かぶ理由がひとつだけあるらしい。

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