エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
初デートは波乱の予感



 *

 十月も半ばに入ると、朝晩は急に肌寒く感じるようになった。一方で日中は最高気温が二十五度を超える日もあり、一日の寒暖差がとても激しい。

 今日の貴利くんとのデートの服装も迷ったけれど、七分袖のワンピースにカーディガンを羽織っていくことにした。

 待ち合わせは午前十時。貴利くんが私の家に車で迎えに来てくれるそうだ。

 その到着を玄関の外で待っているものの、約束の時間を過ぎても貴利くんは現れない。

 五分、十分、十五分……。


「遅い」


 三十分が経っても貴利くんは一向に現れる気配がなく、待ちくたびれた私はとうとう膝を抱えて座り込んでしまった。

 すると、カバンの中でスマートフォンが着信を知らせる。振動の回数からしておそらくメールだ。

 嫌な予感がしつつ確認すると、送り主は貴利くん。


【仕事で少し遅れる。必ず行くからま――】


 メッセージは不自然に途中で切れていた。おそらく【待っていて】とでも打ちたかったのかもしれない。仕事の合間に慌てて送信をしたのだろうか……。

 それにしても、少し遅れるとは具体的にどのくらい遅れるんだ。三十分? 一時間?

 できればそこをはっきりと教えてほしかった。そうでないと、いったいどのくらい待てばいいのかわからない。

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