蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜
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青い空
綿飴みたいな雲
キラキラの水面
波が打ち寄せる砂浜
ーーー此処は
到着したばかりの海
「・・・・・・暑っ」
溢した声に横並びの四人が頷いた
つばの広い麦わら帽子は
頭も肩も守ってくれているけれど
灼熱の砂浜からの照り返しに
足元から溶けて無くなりそう
もう一分も此処に立ってはいられない
「避難よ」
力なく視線を海の家、じゃなくて
大ちゃんの別荘に向けた優羽ちゃんに
全員が賛同した
「「「「賛成」」」」
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遡ること一週間前
一ノ組へ婚約報告に出かけた時
酔っ払った堂本組長とお父さんに
『若造達は海でも行って来い』
避暑地とは言い難い灼熱地獄への切符を渡されたことで決まった
ーーー二泊三日のプチ旅行
子供の頃はよく海もダム湖畔も出かけた記憶があるけれど
東美へ入学してからは
無闇に肌を晒さない生活をしてきたから
暑い夏に外出することは慣れていない
だからか・・・
今年の夏は格段に暑く感じる
「あ゛ーーーっっつ」
優羽ちゃんの声だけで更に気温が上がった気さえする
別荘の中に飛び込むと・・・
そこは天国のようだった
「ここ凄ーい」
琴ちゃんが大はしゃぎする此処は
大ちゃんの家とよく似たお城のような造り
それだけで女子は大興奮
手ぶらの女子チームと違って
大荷物を両手に下げた男子チームが後から入ってきた
「クソ暑っ」
不似合いなパステルカラーのトランクを引いた亜樹に
まるちぃとペアルックの永遠
涼しい顔を崩さない大ちゃんも
自分の荷物と私の荷物を背中と両手に下げている
聡太君に至っては
瑛美ちゃんだけではなくて
誰のか分からない荷物を持っている所為で
フル装備のロボットみたいになっている
広い玄関ホールがあっという間に人口密度が高くなって
「暑苦しいわねっ」
それから逃げるように優羽ちゃんはリビングへと続く大きな扉を開いた