無名ファイル1

空港から車を出してくれた澤田さんに、

お礼を言って車を降りた場所は蛍の家。

状況が掴めず立ち尽くしていると、

優しく手を引かれ、家にお邪魔した。

「俺、今日も仕事…頑張ったよ。
魅香、少しだけ頭…撫でて。」

家に入るや否や、ソファに寝そべる。

私の膝に頭を預け、そっと目を細めた。

こんなに可愛い蛍…初めてだ!!

今日は華美ちゃんもいないみたい…。

「魅香からキスしてよ。」

…とろんとした熱っぽい視線が、

なんだかとても色っぽい。

「蛍…甘えん坊だね」

ん?…と、いうか…???

「…蛍?」

ね、寝ている!!…少し隈がある。

私はしばらく寝顔を眺めていた…。

「っ、寝過ごした!!」

勢いよく起き上がった蛍の頭突き。

わりと強烈な一撃…。

『ゴチーン!!!』

「いっっったぁぁぁっ!?」

「うっ…ぐぅ…!!」

しばらく二人して悶えてしまう…。

「悪い、大丈夫か?最近寝不足で…。
これを早く完成させたかったから。」

蛍に渡されたイヤホンを耳につける。

鼓膜を揺らす切なくとも優しい音と、

彼の真っ直ぐな視線に息を呑んだ…。

「凄く…綺麗」
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