無名ファイル1

Part4.大胆不敵な不意打ち


初夏…蝉の声が響く…背中に嫌な汗。

「月乃魅香!!」

「…はい」

今日が夏休み前最後の登校日…の予定。

渡された通知表をほんの少し開いて、

片目でそっと中身を確認する…。

「…よ、よし…セーフ!!」

ホッと胸を撫でおろした。

評価が悪かったら補修だもんなぁ…。

「みんな通知表受け取ったな!
よし!じゃあ、解散!!さようなら!
夏休み羽目を外し過ぎるなよ!!」

先生が豪快に笑って教室を後にした。

先生が見えなくなるとみんな一斉に、

教室の中心に集まって顔を見合わせる。

「…昨日徹夜して完成させたわよ。」

麗菜が死人のような顔でニタリと笑う。

手には一冊の分厚い台本…。

『おおおおおっ!!』

教室は歓声に包まれた…。

これは文化祭の舞台の演目、

”月光の恋文”の台本。

そう、蛍のソロ曲が原作の舞台だ!!

「ヒロイン!!台本デース!」

ヒロイン…あぁ、今から胃が痛い。

取り敢えず礼を言って受け取る。

「相手が野郎は納得いかないデース。
ワタクシのヒーローとか如何デース?」

「こら、喧嘩を売らない!」

私はエミリアの額にデコピンをした…。
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