僕ときみの、ありふれた恋
宇崎さんと別れた僕は、真っ先に3年生の橋本先輩の教室に向かった。
教室のドアの前に立って、橋本先輩を呼ぶ。
後輩だからか、やたら注目を浴びて居心地が悪い。
「洋斗、どうした?何か部の連絡でもある?」
ここじゃ先輩をどうにもできない。
そう思って、少し離れた空き教室に先輩を連れていくことにした。
「洋斗?何で空き教室なんかに・・・」
「先輩、朝の噂、本当ですか?」
「・・・何、急に」
「いや、本当なら先輩のこと、軽蔑するなって思って。」
「・・・俺がそんなことする訳ないじゃん?」
そう言った先輩は、決して僕と目を合わせない。
動揺している証拠だ。
「そーですよね。先輩がそんなことするはずないですよね」
「そうだよ。何言ってんの、洋斗は」
安心したようなヘラリとした笑みに、僕の中で何かがブチ切れた。
「・・・とでも言うと思ったかよ」