大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
そわそわしてこれ以上聞き耳を立てていられなくなった私は、「おはようございます」と笑顔を作って経理部に入った。



それからふた月ほど経ち庭の八重桜の花が散る季節になると、三谷商店に出向する人たちの噂話でもちきりとなった。


「津田さん、三谷商店のことなんか聞いてる?」


高山さんに振られたものの、「くわしくは知りません」と言葉を濁す。


「敏正さん、家では仕事の話しない?」

「多少はします。将来的には総合商社を目指したいと。それくらいです」


それはどうやら皆も把握しているようなので話すと、「なにを扱うつもりなのかな」と高山さんが考えだした。


「財閥の商社もあるから、激戦だよね。津田紡績が参入するのだから、やっぱり綿糸関係じゃないの? 以前、反物の売り上げがかなり上がってたじゃない」


松尾さんも興味津々という感じだ。

< 274 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop