キミだけのヒーロー
角を曲がり、やっとサユリの姿を捉えた。

追いかけながらサユリの後姿が3年前のあの姿とダブる。


ああ……やっぱりそうだ。

あれは彼女だったんだとオレは確信した。

髪形こそ違うけど、ピンッと伸びた背筋もスラリとした脚も、オレの記憶のまんまだった。


今となっては、なんで気づかなかったのか不思議なぐらいだ。



それにしても……。


はっ……はえ――!


サユリの足は信じられないぐらい速かった。

もう、お前はどんだけスポーツ少女やねん!

――って後で絶対つっこんでやる!



でも……。

センターフォワードの脚力なめんなよ!


オレも本気出して走る。

その距離が少しずつ縮まってきたと思ったら、サユリがまた角を曲がった。



オレも後に続いて曲がる。


あ……あれ?


キキキーなんて、足にブレーキがついてたらそんな音が鳴りそうな感じでオレは足を止めた。


なぜなら角を曲がった瞬間、サユリの姿が忽然と消えて無くなっていたからだ。
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