キミだけのヒーロー
おまけのおまけ
オレは鏡を覗きこむ。

ワックスを手のひらで充分に伸ばし、髪にすりこむ。

後は、毛束をつまんで適当に散らして……

ハイ、出来上がり。

鏡に向かってキメポーズ。


「――って、今日雨やし!」


こんなバッチリ髪型決めても、学校に着くころには崩れてんだろうなぁ……。

これだから梅雨時は困る。


――ドンッ


「ってええええ」


「もう、お兄ちゃん、邪魔!」


横から妹のマキが体当たりしてきた。


「そんなかっこつけても誰も見てへんって!」


そう言いながら器用に髪を頭のてっぺんでクルクルとまとめるマキ。


「んなん、わからんやん。オレかって、生徒から愛の告白をうけるかもしれへんし」


「ありえないっつーの。こんなオヤジ……」


「オヤジとか言うな! まだ24やで!」


「充分、オヤジやん……」


そうポツリと呟くマキ。
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