ドキドキするだけの恋なんて

「出会いって 不思議だね。」

翔真は いつもの ゆったりした口調で 言う。


「うん… 本当に 不思議。私 あの時 タケルと再会したことに 気を取られていて。翔真と出会ったこと 意識してなかったけど。でも あの出会いが あったから… 今の 私達が いるんだね。」


「あの日 あず美のこと 可愛くて 話しも合うし。俺 すぐに いいなって 思ったけど。あず美 不自然なくらい 野本君のこと 避けてて。俺 んっ?って思ってたんだ。」

「えー?そうなの? 私 そんなに 意識してたかな…?」


「多分 他の連中は 気付かなかったと思うけど。俺は あず美のこと ずっと 見てたから。」

「じゃ 翔真。何か 訳アリで 面倒だって 思わなかった?」


「うーん…少しは あったけど。でも 時々 ラインするようになって。やっぱり 合うなって 思って。」


「私も。でも 翔真。なかなか 誘ってくれないし。どういうつもりなのかなって ずっと 思っていたんだよ?」


「ハハハッ。焦らし作戦 効いた?」

「えー?作戦だったの?」


「嘘、嘘。ちょうど 仕事が 忙しい時期で。そっちに 集中してたのもあるし。でも あず美って ガツガツ行くと 引くタイプだと思ったから。」


「うん 確かに。翔真 私のこと よくわかったね。」

「だって 俺が そうだから。俺達 似てない?根本が…?」


そう… 私と翔真は 根本が 似ている。


だから 一緒にいて こんなに 安心するんだ。







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