私は彼とあくまでも友達になりたい
図書委員7回目
図書委員7回目。11月のことだった。

担任にノート持ってこいって頼まれちゃったから、遅れちゃったよ。

彰人くんもう来てるかな?

そう思い、図書室へ急ぐ私の足。
そう言えば、男子バレー部は、決勝戦で負けてしまったらしい。
彰人くん、凹んでるかなぁ…。

そう思うと、少し足早になる。

そんなだったからか、図書室に着く頃には息切れをしていた。
中には人影があった。

彰人くん、もう来てるんだ。

そう思い、扉を開けようとしたときだった。

「…ねぇ、だからさ、私と付き合ってよ。」

その声を私はよく知っている。ひなちゃんの声だった。
ひなちゃんも彰人くんのこと好きだったんだ。

私はびっくりした。

…したのだが。

「…いいよ。付き合おうか。」

──彰人くんの言葉にそんな驚き全てかき消されてしまった。

その声は眠そうで、抑揚のない声だった。
だから、彰人くんが何を考えてるのか分からなかった。

しかし、言えることが一つだけ。

『彰人くんがひなちゃんの告白をOKした。』

その事実が私の耳の奥で嫌な音を作り、脳味噌と胃を逆さにした。

私はとにかくこの場から離れたかったが足が動かなかった。

それでもよたよたと立ち上がり、ゆっくり、ゆっくり壁を伝ってその場を離れた。

涙は出なかった。
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