私は彼とあくまでも友達になりたい
***

私と司書の先生は、告白を目撃してから3分くらいして中に入った。

「やっほー。弥生くん。」

「初めまして、弥生くん。」

私たちの笑顔は多分ぎこちなかったと思う。

「…先生、さっきの告白見てましたよね?西窪も。」

どっきーん。ば、バレてる…。

…バレてるなら取り繕うのもおかしいかな?

「…うん、申し訳ないけど見てた。」

弥生くんの目を見ることが出来なかった。

「で、なんであんな風に断るの?って思ってる、と。」

弥生くんは続けてそう言う。

「う、うん。」

またまた、考えてることがあてられる。弥生くんはエスパーなのかもしれないと思った。
すると、弥生くんはため息をつき、

「…まあ、先生と西窪になら教えてもいいか。

付き合う気がないのに付き合うのは相手に対して失礼だと思うし、相手の本気の告白に対して、中途半端な返事をするのも失礼だと思うからです。」

と言った。
そんな弥生くんの言葉に、司書の先生は、

「…そう、なのね。
でも、もう少し言葉の選び方があるんじゃないかしら?」

と言った。

「あー、それはもう、言葉を選ぶのが少しめんどくさくて、思ったことをそのまま口に出してるんです。」

「うーん、やっぱそれは良くないんじゃ…。」

先生は溜飲が下がらないような顔をしていた。

確かに、言葉は選んだ方がいいかもしれないけど、その、失礼かも、という考え方は、それもそうかも、思わされた。

まあ、私が誰かに告白される機会なんて一生ないと思うが…。

そう考える私を他所に、弥生くんは先生の言葉に対して、 

「大丈夫ですよ。好きな人には言葉はしっかり選んでいるので。」

私の方をチラリと見た弥生くん。

…少しドキッとした。

やっぱりこれは恋なの?
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