私は彼とあくまでも友達になりたい
***

今日の図書委員の仕事も終わり、今日も弥生くんと一緒に帰ることになった。
現在バス停でバスを待っている。
そんな中、弥生くんが口を開いた。

「なあ、西窪。おまえ誰かと長濱祭り行くの?」

長濱祭りとは、長濱市のお祭りで県内でも規模が大きい祭りだった。

「え?あぁ。
長濱祭りは毎年、中学の頃からの親友の屋台の手伝いをするの。
まあ、全部売り切れたら暇になるけど。」

「へえ、親友の手伝い。」

「うん、親友の家が和菓子屋なの。知ってるかなぁ。『なかの堂』っていうあんみつが美味しい店なんだけど…。」

「知らない。」

「そっか。美味しい店だから、来て損はないと思うよ。」

そんな会話を交わした。そのあと少しの間静かだったが、

「…ねえ、それ、俺も手伝いに行っていい?」

弥生くんが口を開いた。

「え!?多分大丈夫だと思うけど…。どうしたの?」

「いや、俺、西窪と祭り行きたいなって思ってて、それで。…西窪は嫌だ?」

それなら別のやつと行くけど、弥生くんはそう言った。

「嫌じゃないよ!むしろ、こんな顔がイケメンと並んでごめんねだよ!」

ほんとにほんとに、こんな普通の顔のジャガイモが並んでごめんなさいだ。今だって思ってる。

「…俺は、西窪のこと可愛いと思うよ。」

そういうことサラリと言っちゃう弥生くん。
胸がどきんとする。

…やっぱりこれは恋なのだ。

姉の恋の定義を使うとこれは恋なのだ。
恋ってこういう気持ちなのか。
少し甘くてそわそわした。

長濱祭り。楽しみだなあ。
弥生くんを見ながらそう思った。
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