私は彼とあくまでも友達になりたい
フルーツ飴の屋台はそこまで混んでいなくて、早い段階で買うことができた。

千夏のお父さんがくれたお小遣いで私たちはリンゴ飴を買った。りんご飴の売り文句は『甘くて酸っぱい初恋の味』となっていた。

「うーん!美味しいね!ねえ、彰人くん。」

「うん。」

初めの頃は弥生くんのことを無気力小悪魔イケメンだなんだと言っていて萎縮していた千夏も今日一日ですっかり打ち解けていた。

その様子を見て、嬉しいような、モヤっとするような不思議な気持ちになった。
これも恋心が起こす気持ちなのだろうか。

「…ほんとに美味しいね。」

私はりんご飴に齧り付き言った。
美味しいはずなのに、酸っぱさしか感じられなかった。
< 45 / 251 >

この作品をシェア

pagetop