あなたの左手、 私の右手。
救急車を呼んだ時も、おばあちゃんが行きを引き取った時も、なぜか私は涙が出なかった。

全く実感ができない。



ただただ、病院の地下にある霊安室に移されたおばあちゃんの遺体の前で座ったまま、時間だけが流れた。


いろいろとやらなければならないことがたくさんある。
手続きをしたり、葬儀の手配をしたり、親戚にも連絡を取らないとならない。

でも、しばらく心も頭の中も空っぽの状態で私はおばあちゃんの隣に座り続けた。
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