子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「紬」

妙に色っぽく、優しい声音で私を呼ぶと、その大きな手で振り向くように促してくる。けれど、彼の顔を直視する勇気はない。
そこを強制的に私の顎を持ち上げて、視線を上げさせてくる。

目が合って、〝わっるい笑みだ〟と思うままないまま、ニヤリとした彼に口付けされた。

「ん……んん……」

優しく包み込んでくれる体と別に、やりたい放題するかのように、深い口付けをしてくる。

たまらず柊也さんの腕をギュッと掴むと、やっと解放してくれた。
上がってしまった息を整えようと、胸元をギュッと抑える私の耳元で、このエロ大魔王は限りなく優しい声音で囁いてくる。

「したい」

ピクリと肩を揺らしてしまう。

「もう限界」

大きな手は、さっきよりも幾分か熱が上がっているのは気のせいじゃないはず。
その熱い手が、怪しく私の体をはっていく。

「無理はさせないから」

優しく耳朶を食まれ、座っているというのに腰が抜けたような感覚になってしまう。

「いい?」

最後の最後は、俺様な横柄な態度じゃなくて、まるで懇願するような甘えた声を出すなんて……ずるい。

絆されるようにしてコクリと頷くと、そっと体を押し倒されてしまう。

「痛かったり、苦しかったり、とにかくやめて欲しかったらすぐ言って」

真剣な目でそう言う彼に再び頷き返すと、小さく微笑んで再び口付けが降ってきた。






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