子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「久しぶり、綾」

いつもなら阿吽の呼吸で居酒屋一択だけど、今日は私からお願いして、小洒落た洋食屋を選んだ。

「紬!あれ?なんか太った?」

開口一番に放たれたセリフに、思わずガクリと肩を落とす。

「やっぱり、そう思う?」

「なんとなくぐらいだよ。それより、居酒屋じゃないなんて珍しいわね。何かあったの?」

「うん。まあ……実はね、妊娠したの?」

「は?」

鳩豆面全開の綾に、もう一度告げる。

「だから、私ね、赤ちゃんができたの」

「…………?」

「でね、お酒はもちろん、タバコの煙も良くないから、今夜はここにしたの」

前からずっと、子どもが欲しいことは話していたんだから、そこまで驚かなくても……
って、逆の立場だったら、たぶん私も同じように放心状態になってたと思う。

「…………本気?」

綾がやっと発した一言に、ゆっくり頷いて返す。

「もちろん。だからちょっと体重が増えちゃってね」

まだ許容範囲いだけど、気を付けなくちゃねって苦笑する私を、綾は凝視してくる。


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