プラチナー1st-

浜嶋主任

「紗子(さえこ)」

時計が定時を指して、同僚の笠原詩織(かさはらしおり)が声を掛けてくる。

「なあに? 詩織」

「今日も残るの?」

詩織の問いに、うん、と応える。

「まだ、月曜の朝の会議の資料が出来ないの。これ作っちゃわないと、帰れない」

「そうなの…。今日、ご飯食べに行かないかなって思ったんだけど…」

今日は金曜日で、もう既に席を立っている人も多い。皆晴れやかな顔をして、会社を出ていく。それを眺めながら、良いなあと呟いてみた。

「良かったら、私、手伝おうか? 二人でやった方が、早く済むじゃない?」

詩織がそう申し出てくれたけど、これは紗子の仕事だから、それは悪い。特に今日は金曜日なんだし。
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