死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「映像なら危険はないっていう認識でいい?」


梓の言葉に厚彦が戸惑ったように目を見開く。


「でも俺、触れることはできるぞ?」


「触らないって約束して」


ピシャリと言われて厚彦は首を縮めた。


それから梓は大きなダンボールを何個か自室へと持って上がった。


「それ、どうするつもりだ?」


「仕切りにするの」


梓は短く答えてガムテープでダンボールを張り合わせて行く。


こんなことで空間を分けてもあまり意味はないかもしれない。


だけど、厚彦に寝顔を見られるよりはマシだった。


「できた!」


ダンボールでできた即席の仕切りに梓はホッとする。


同時に吹っ飛んでいた眠気が舞い戻ってきた。


「あたし、もう寝るから」


ダンボールの向こうにいる厚彦へ声をかけてベッドにもぐり込む。


するとほんの数分のうちに寝息が聞こえ始めたのだった。
< 16 / 338 >

この作品をシェア

pagetop