死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

玲子が帰って1時間ほどすると、両親も旅行から戻ってきていた。


沢山のお土産がリビングのテーブルに広げられ、家族3人の団らんの時間。


その中には当然のように厚彦が混ざっていたが、その姿は両親にも見えなかった。


「あ、そういえば明日葬儀なの」


今日家にいなくて何も知らない両親に、梓は昨日厚彦が亡くなったことを説明した。


「嘘でしょ。そんなことがあったなんて……」


母親は青い顔をして梓に送られてきたメッセージを確認している。


「交通事故か、可愛そうにな……」


父親もさっきまでの賑やかさを消して、深刻そうな顔になる。


どういう経緯があったにせよ、10代の死は若すぎてとても重たい。


そのことを梓は改めて実感した気がした。
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