死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
「だって暇なんだもん」


「そっちは暇でもあたしは暇じゃないの! 授業はちゃんと受けなきゃいけないの! あたしには試験だってあるんだから!」


思わず声が大きくなった。


そしてハッと息を飲む。


『あたしには試験だってある』


それは厚彦にはもうないという意味になってしまうのだ。


(しまった……)


梓の背中に汗が流れて行った。


自分には未来があるが、厚彦にはもうない。


遠まわしにだけれど、そんな罵声を浴びせてしまったのだ。


さすがに今のは言いすぎた。


「ごめん、つい……」


梓がうつむき加減に言うと厚彦はいつもの調子で「別にいいよ」と、答えたのだった。
< 50 / 338 >

この作品をシェア

pagetop