これは僕と彼女の軌道
 今は、倉庫の備品を確認中だ。本来、倉庫管理は生徒会役員の仕事に含まれていないが、花壇を直した次の日不可解なことが起こっていた。花壇で唯一直していなかったレンガが新品に取り換えられていた。だが、花壇が壊されていたこと自体、先生方は知らなかった。申告しても相手にされず、レンガはそのまま使用されている。でもこれは、侵入者が入ったかもしれないという、異常事態のはずだ。何か盗まれたわけではないが、このまま放っておくのは不味い気がする。

 だから、未使用のレンガが保管されている倉庫なら手掛かりがあるかもしれないと、ここに来た。

 1ヶ月もしてから来たのは忙しかったことも理由だが、風無さんに聞き込もうとしていたから。彼女は僕より前からあの日花壇にずっと居たから、何か知っているかもしれないと思った。彼女に話しかけたのも、改めて勉強のお誘いをするためだけではなく、それも理由の内。

 でも、あの様子からして聞いても無駄だと諦めて、現在に至る。

 倉庫には電灯がなく、懐中電灯で辺りを照らす。

 レンガは右の隅に置いてあった。個数は事前に調べてあった通りだが、1つ不可解な点に気が付いた。あの日、破壊されたレンガの残骸をこの倉庫に手前に置いた仕舞っておいたはずなのに、なくなっている。取り換えられたレンガは、この学校で使用しているレンガと微妙に色が違うから、外部の人間が持ち込ちこんだものだろう。そのことすら、部外者がやる意味がないのに、わざわざ壊れたものを盗むことがより不可解だ。

 やはり、レンガを取り換えたのは内部の人で、ただ修復しただけなのか?でも、誰にも知られず一晩でどうやったんだ?複数の人がいなければ、次の日までに修復が終われるわけがない。
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