Romantic Mistake!

「スケジュールファイルはパソコン開いてホームアイコンにしてあります。予備の手土産はデスクの引き出し。急な慶事・弔事セットは二番目のチェスト。ちなみに三日間のスケジュールはプリントアウトしてパソコンの画面にベッッタリと貼っておきましたけど……?」

『……お、本当だ。悪い悪い』

ブツン、と切られ、スマホを持った手が怒りでプルプルと震えた。どうしていつも同じ説明を何度もさせるんだろう。ポンコツなボスの番号など旅行中は着信拒否にしてしまいたいところだが、どうにかこらえる。

「楽しんでやる……死ぬほど楽しんでやるんだから」

三日間羽を伸ばすことを宣誓し、空港から見える景色に目をやった。

もう準備万端だ。宿も奮発したところを予約済みで、旅行ガイドも三冊買ってある。今日のためにわざわざ父に借りたブランド物のスーツケースをゴロゴロと引きながら、まずはターミナル内のカフェへと向かった。

今はお昼の十二時。観光前の腹ごしらえといこう。
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