Romantic Mistake!

ドレスに着替えて、次はヘアメイク。後れ毛を残したゆるさのあるアップスタイルにされ、徐々に色気が増していく。鏡に映る自分をポーッと見つめていると数分で、パールの飾りが添えられ完成した。

「すごく素敵ですよ! 桜庭様もメロメロですね」

また持ち上げられて顔が熱くなるが、彼にはさっきまで桃香さんという美しい婚約者がいたのだ。どう考えても私ではランクダウンだろう。「桜庭様」と彼を呼びに行ったスタイリストさんが戻ってくるのを複雑な気持ちで待ち、しばらくすると、彼がやってきた。

「仁科さん、準備はできました、か……」

彼は私を見るなりなぜか固まり、言葉を失って目を泳がせている。なにかダメだっただろうか。動かなくなった彼を前にガーンとショックを受けながら、ヨロヨロと近づいてうなだれた。

「ちょっと、桜庭さん、どんな反応ですかそれ……」

「あ……す、すみません。てっきり着物だと思っていて……その、不意打ちというか……」
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