Romantic Mistake!

「麻織さん、泣いてるの? 大丈夫?」

「ううう……颯介さんっ……」

私を心配そうに覗き込む彼が、最初に出会ったときの姿に重なった。手を差し出され、気持ち私はそれを掴んで立ち上がり、気持ちがあふれたまま彼の胸の中に飛び込む。

「麻織さんっ?」

店員さんたちの「きゃあ」という声が沸き上がる。仕事場の彼にこんなことをしたら怒られるかもしれない。でももう、颯介さんへの気持ちが止まらなかった。

胸にしがみついてグスッ、グスッと肩を震わせ、「好き……大好き……」とつぶやく。最初は驚いていた彼も、やがてそっと抱きしめ、優しく背中をさすってくれる。

「迷惑かけて、ごめんなさい……。嫌われてもしかたないと思っていたのに、皆さんと一緒に印鑑を探してくれていたんですね。うれしい……。印鑑なんてなくなって、颯介さんと出会えただけで、私は……」
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