恋愛履歴書
恋愛履歴書《れんあいりれきしょ》

 ある日恋をした・・・。

自分が中学生の頃から聞いているバンドの歌詞の一節をなんとなく思い出した。
四五歳になった私は、もう恋はしていない。
恋だけじゃない、愛も有るのかさえよくわからなくなっていた。
 
子供が二人、猫が二匹、虫が多数、夫が一人。

私の家族だが、温かいのか冷えているのか全部が曖昧。
ずっと薄い布で目隠しされて手探りで暮らしているようだった。

子供はかわいいけど、正直面倒な事が多い。
薄情な母親のように感じるかもしれないけれど、ネグレクトではない。

愛情なのかわからないが、私は普通の母親より気が利かない。
その分、こどもの事だけは手を抜かないと決めていた。

子供達は私より優秀だと思う。
でも、大変だ。
面倒じゃない子なんていない。

私より優秀でも子供たちは、発達障害だ。
私より優秀だろうに発達障害とは?
そう思うかもしれない。

でも、病院で診断がついたのだからそうである。
私も、発見されなかっただけで、軽度のADHD(衝動型)だろう。
とにかく生きづらかった。

普通の人達と共通する部分が、あまりなかったからだろう。
たまたま身を投じた、芸術関係には、独特の感性を持った人間が多いようで、異質だと思っても極力理解してみようとしてくれたように思う、そのおかげでなんとか生きていた。

見た目も大きく関わっていたと思う。
私は、割と愛らしい容姿をしている。
自分で言うなとは思う。

大きな目と小さな鼻、小さいけど上を向くでもなく鼻筋は通っている、そして小顔にバランスがいい大きさの小さな口がついていた。
身長が百五十センチに若干満たないのも、守ってあげたい感を醸し出す要因の一つだ。

発達障害だからか、先や細かいことを考える事が苦手なので、全部ストレートに言う。
しかも、馬鹿がつくくらいに素直で純粋な印象を与えるそうだ。
そのせいで、とにかく男受けが良かった。

だが、女から嫌われるかと言うとそんなことはなく友達もいる。
親友か、悪友と言うのだろうか、それこそ交際相手や現在の夫婦の性行為事情や子供の発達障害、家出した時の駆け込みまで、全部お互いに話すことができる、七南と言う友もいる。

私の子供達に少し話を戻す。
私の子供達は、算数と国語の成績がよかった。
ほかの教科も平均より上だった。

学校なんてものは、成績さえ悪く目立たない程度取っていれば普通にやっていける。
でも、発達障害の厄介な部分は、学習障害だけではない。

学習障害は、本人と先生が学生時代だけ苦労するが、学生が終わってしまい私のように得意なものが一個でもあればなんとかなる。

問題は社会性である。
社会性を手に入れるには、人間の学習と人間関係の経験が必要だと思う。
おそらく、発達障害である人間の人生において一番苦労する。

社会性を身に着けるには、恋愛をお勧めしておこうと思う。
駆け引き。素直さ。本音。嘘。面倒臭さ。胸に灯る嫉妬。胸に涌く冷酷さ。
対局になることを全て学べる。
これから、私の恋愛を履歴書のように書いてみようと思う。
実母に『あなたの人生は面白いと思うの。小説にでもしてみたら?』と
言われたのをきっかけとさせていただく。
 
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop