極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
兄には感謝してもしきれない。
でも、その兄もイギリスに行ってしまった。
私は……ひとり。
どこか寂しさを感じたその時、遠くで『おやすみ』と言う優のこの上なく優しい声が聞こえた。
その声に安心して心が温かくなって……。
ハッと目が覚めると、寝室のベッドで寝ていたから驚いた。
「いつの間にベッドに?」
壁時計を見ると、時刻は午前六時五十五分でギョッとした。
「嘘!寝坊した!」
慌てて飛び起きてバスルームに行こうとして、「あっ!」と声をあげる。
私、下着姿じゃないの。
こんな姿優に見られたら大変だ。
ん?ちょっと待って!
私……リビングにいたのにベッドで寝てた。
起きた時に感じた疑問を思い出して、昨日の夜の記憶を辿る。
ソファで寝ててスマホのアラームが鳴って……でも、もうちょっと寝て……それでどうしたんだっけ?
え?え?
全然思い出せなくて、心臓がバクバクしてきた。
落ち着け。
冷静になろう。
< 96 / 243 >

この作品をシェア

pagetop