呪イノ少女、鬼ノ少女
「は、半殺……」


冗談めかした茜の口調に、その言葉の重さが流されそうになる。

いや、きっと茜もそういう風に言うしかないのだろう。


「後者裏でさ、雛子に乱暴しようとした男の子五人を仲良く病院送りだってさー。最初は詐欺か悪戯か疑ったての」


だが、警察の話は事実だった。

茜が手塩に掛けて育てた愛娘は、やはり半鬼だったのだ。

人の子として育てようともがいた茜の目論見はあっさりと砂上の城如く崩れさってしまった。


「あの子は虐めを私に相談しなかった。一人で解決しようとした。……それが間違いだったのよ!!」


茜が声を荒らげる。


「何を思ってたのかな、この子」


おそらく、雛子なり他人に依存しがちな己に気付いていたのだろう。

小さな雛は自身の羽で、大空へ飛び立とうと羽ばたいたのだ。

しかし、所詮は母の羽に包まれて生きて来た。

突然、雛鳥が大空を自由に飛び回れるはずなどなかったのだ。


「事件のことは退魔のお偉い方に揉み消させたわ。けど、雛子の負った傷はどうにもならなかった。ねぇ、あの時の雛子の言葉なんてサイアクよ…何て言ったと思う」


茜が仕事を切り上げ、雛子の元に駆けつけたとき、彼女は初めて出会った時のように冷たい石造りの無機質な部屋の片隅で、死んだような目で宙を眺めていた。

そして、放った一言は、茜を苦悩のどん底に叩き落とすには十分過ぎるものだった。




―――どうして、助けてくれなかったの?




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