もうこれ以上、許さない
「っ、はっ?
何言ってるの誉っ…
意味わかんないんだけどっ」
冗談だとわかってても、思わず動揺する。

「あぁ、ここにいるのが辛いなら、他の町に住めばいいし。
俺はそこに支店を作るから、なんなら県外でもいいよ」

「違う!そーゆう事じゃなくてっ、」

「仕事も探さなくていいよ?俺が養うし」

「だからそうじゃなくてっ…
同情してるの?
そこまで心配してもらわなくても大丈夫だし、逆に失礼だよっ」

「同情なんかじゃないっ」
あたしの語尾にかぶせるように、強い口調で言い切る誉。

「だったらなんで急に、そんな事…」

「……ちょっと、寄り道してい?」
少しの沈黙のあと、そう訊かれて。

戸惑いながら頷くと…



「うわ、絶景!
こんなとこがあったんだっ?」
寄り道先は、夜景が綺麗な場所だった。

「うん、穴場なんだ。
俺のお気に入りの場所だから、連れて来たのは月奈が初めてだよ」

久しぶりの思わせぶりな発言に、ついドキリとしてしまうも…
きっとあたしを励ますためか、辛いこの町をいい思い出で締めくくってくれてるのかと、考えを巡らせる。

「…ありがとう。
いい思い出にする」

「……うん。
これからも俺が、いい思い出をいっぱい作るから…
だから、俺と結婚してほしい」
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