もうこれ以上、許さない
「そんな気を使わなくていいよ」

「使ってないって。
ほんとに美味(うま)いし…
むしろお嫁さんにもらいたいくらいなんだけど」

「っ、はあっ!?」
胸が思い切り掴まれる。


「…この程度でそう思うなら、だれでもお嫁さんになれるよ」

「なれないよ。
だから、月奈もらってい?」

だめっ、本気にしちゃダメ!
大騒ぎする心臓を必死に落ち着ける。


「…もしかして誉、味覚音痴?」

あたしを見つめてた誉が、心なしかガクッと揺れる。

「いや、それはない」
「あるって、1回調べてもらった方がいいよ」

そうやって、その話題はなんとか流したものの…


もうほんとに、そういう反応に困る事やめて欲しい。
心臓に悪い事やめて欲しい。

予断を許さないのはこっちの方かと、ため息が出た。
そして…

ねぇ誉。
もしあたしが「いいよ」って答えてたら、どうしてた?

頭の中には、まだその話題がこびりついてた。





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