雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「あなたがそう思うのなら」

「だったら、もう少し素直に褒めたらどうだ」

「龍宗様の口から、素直に、なんて言葉、言われたくありません」

 口の減らない飛燕に、龍宗は苦笑するしかない。だがすぐその顔は、厳しく結ばれた。



「もし俺がこの国を亡ぼすようなことになったら……その時は、お前が俺を切り捨てろ、飛燕。お前には、それを許す」


 一瞬、目を見開いた飛燕は、小さく、御意、と答えて首を垂れた。
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