雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 璃鈴がその談話室に入ると、そこには三人の艶やかな女性が座っていた。璃鈴が入ってきたことに気づいただろうが、彼女たちはちらりと璃鈴を一瞥しただけで、立ち上がる気配もない。これに憤慨したのは秋華だ。


「あなたたち、皇后のおでましであります。あいさつを」

 気色ばんだ秋華の声にも、彼女たちは態度を崩さない。


「皇后と言っても、形ばかりの立場でしょう?」

 そのうちの一人がけだるげに言った。立ったままその言葉を聞いている璃鈴を、頭から足の先まで、無遠慮に視線を走らせる。


「へえ。思ったより子供じゃない。ねえ、わかる? 私たちは、身分、美貌、知性、すべてを兼ね備えた選ばれた大人の女性なの。あなたと違って、陛下の身も心も満足させることができるわ。かび臭い因習に従って迎えた子供なんて、おとなしく部屋に籠っていればいいのに」
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