雨の巫女は龍王の初恋に舞う
「これは、お茶?」

「はい。これ、輝加の南方でとれる、希少なお茶なんです。一番茶をぜひ陛下に飲んでいただこうと……」

 うつむき気味の夏花に、璃鈴はふと違和感を抱く。


「夏花、何かあった?」

「え?」

 顔をあげた夏花は、やはり顔色が優れない。


「いえ、何も……」

「そう? どこか具合悪かったりしない?」

「少し、疲れているだけです。大丈夫です」

「そうなの? もし仕事が大変なら、冬梅に言って……」

「いえ! 本当に大丈夫ですから!」

 必死に言う夏花に、璃鈴はあまり無理に言っても逆に夏花を追い詰めそうだと思ってそれ以上聞くのをやめた。

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