雨の巫女は龍王の初恋に舞う
 ゆっくりと馬車から降りる璃鈴の姿を見て、あちこちからため息のようにかすかな声があがった。

 きらびやかな緋色の花嫁衣装が、夕陽にきらきらと輝く。


 姿勢のいい肢体から伸びる華奢な手足。洗練された優美な仕草は、どれほどに美しい人なのかとその姿を見た者の想像をかきたてる。普段、かなり粗野に生きていた璃鈴がこれほどに貴婦人然とした格好ができるのも、あきらめずに璃鈴を指導してくれた長老の教育のたまものだ。


「お待ちしておりました」

 璃鈴が馬車から降りると、一人の男性が膝をついて待っていた。そのうしろにはずらりと同じように女官が並んでいる。

「璃鈴様には、ご機嫌うるわしく。私は、陛下の宰相で来余揮と申します。陛下の名代で、お迎えに参りました」
< 40 / 313 >

この作品をシェア

pagetop