冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「仮に今の話が本当だとしてお前の気持ちはどうなんだ? 確かに付き合うには至らなかったのかもしれない。それでも好きな男が居たのは間違いないだろう。そうでなければ俺たちが別れる必要はなかった。まさか気まぐれで分れたなんて言わないよな?」

「それは……事情があって」

「事情? それはなんだ?」

真実に近づいた興奮からか気付けば奈月の腕を掴んでいた。

「家で司波家との政略結婚の話が出ていると聞いて……叔父様たちはみんな愛理が和泉と結婚するのを望んでいたから」

「それで別れたくなったのか? つまりその程度の気持ちしかなかったってことか」

和泉は落胆を隠せなかった。奈月と自分の想いの違いを実感しやりきれない。

ただようやく冷静さを取り戻し始めていた。妊娠中の奈月を部屋の外で立たせたままには出来ない。それに一度頭を冷やすべきだ。

「立ち話をし過ぎた。部屋に行こう」

奈月を部屋に送り、自分はその場から立ち去る。少し考えてから階段を降り玄関に向かった。

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