冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~

「……仰向けで睡眠をとった後は?」

気を取り直したように和泉が言う。

「和泉と赤ちゃんとお花見が出来たらいいな。綺麗な桜を見せてあげたい。みんなを招待して賑やかに楽しむのもいいな」

幸せな未来の想像に頬が緩む。そのとき突然生暖かいものが漏れだすのを感じた。

「えっ!」

「どうした?」

和泉は奈月の表情からただ事ではないと察したようだ。

肘をついえ上半身を起こし、奈月を見下ろす。

「……破水かもしれない」

「えっ?」

「一気に出て来て」

破水になった場合の対処方はしっかり頭に入れている。

(病院に連絡して行かなくちゃ)

しかし体が咄嗟に動かない。変わりに和泉が迅速に行動した。

病院に連絡をし荷物と車の準備をする。奈月の着替えも用意しシートとバスタオルを敷いた車に慎重に乗せてくれた。

「大丈夫なの?」

亜貴が慌てた様子で駆け寄って来る。

「ああ。あとで連絡するから起きていてくれ」

「ええ」

和泉はてきぱきと動きあっと言う間に車を発進させた。

慎重に運転しながらも後部座席で横たわる奈月をミラー越しに確認してくる。

「大丈夫か?」

「うん……でも段々お腹が痛くなってきた」

「! 道が空いてるから直ぐに着く。あと少し頑張れ」

「うん」

上手く最短ルートを使い病院に到着した後は、迎えてくれた病院スタッフに陣痛室に運ばれる。

それから約六時間後。和泉の励ましとスタッフの的確な処置により夜明けと共に和泉と奈月の子供は誕生した。

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