冷徹旦那様との懐妊事情~御曹司は最愛妻への情欲を我慢できない~
「俺は奈月ちゃんの気持ちが少し分るな」

「え? 友也さん何言ってるの?」

驚く深雪に友也は、ゆっくりとした口調で答える。

「恋愛と結婚は違うよ。育った環境の違い、本人の経歴や職業の差。あまりに立場の違うふたりだと価値観のずれは大きくなるばかりだと思う。気持ちがあるからって他の条件に目をつぶって一緒になっても上手くいかないんじゃないか?」

深雪は、はあと溜息を吐いた。

「なんだか悲しいわよね。でも友也さんの言うことも分るし奈月がしっかり考えた上で決めたんだから、余計なことを言うのは止めるわ。でも本当に我慢し過ぎないでよ? 抱えられなくなる前に相談してね」

「深雪さん、ありがとうございます」

彼女の温かさが心に染みる。

「俺たちは同じ職場で働く仲間だからな。困った時は支え合おう」

友也の頼りある言葉に、奈月は小さく頷いた。

広川堂で働いていて良かったと思う。好きな仕事というだけでなくこんなに素敵な仲間がいるのだから。

(和泉と別れた悲しみが癒える日が来るか分からないけど、でも私にはまだ居場所があった)

奈月にとって大切な仕事。それだけは続けて行きたいと思う。
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