サンタクロースに恋をした
「それって……」
「失恋、ですかね。でも、いいんです」
「丸川さん……」

 平川さんを困らせたいわけじゃないのに、ごめんなさい。そんな顔をさせて。

「なんだかごめんなさいね」
「いえ」
「莉子ちゃんは?」
「私は今1番好きなのは那美ですから。見ての通りです」
「莉子……それはそれでなんだか恥ずかしいよ」

 平川さんは照れた顔をして時藤さんを見る。いいな2人の関係。

 私も、互いを思い合える友達がいたなら、きっと今頃もっと違う人生を送ることができたはずなのに。

 でも、そんなことをうじうじと考えたって前には進めない。今この時間を大切にする方がきっとこの先財産になる。

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