サンタクロースに恋をした
「俺、本気なんだけど。お前のこと」

 夕焼けに染まる安藤の顔は赤くて、私もそれにつられて同じ色になりそう。

 本気って……私のことを冗談ではなく好きだということ? もう、っていつものように言おうとしたのに、安藤の目がそれを許してはくれなかった。

 その目から、その言葉が本気だというのが嫌でも伝わってくる。私と安藤の間の空気が止まる。息をするのも躊躇う。

 でも、安藤はずっと仲の良い男友達って感じだったし……。

「な、何言って」

 それでも私は誤魔化そうと言葉を紡いだ。

「いや、まじでさ。お前のこと好きなんだよ」

 今回は安藤も本当に本気なのか、いつものへらへらとした表情を見せない。

 真っ直ぐな瞳に耐えきれなくなって私は目を逸らす。だって、ずるいよ。

 さっきのあいつへのあの私を庇う言葉に、今の告白。好きだからこそのさっきのあいつへの言葉。

「でも……」

 私の心の中にいるのは先輩で……。

「お前がその先輩とやらを好きなのは知ってる。でも、俺にだってチャンスくらいあるだろ?」

 何故か、無い、とは言えなかった。あの時、庇ってくれたあの瞬間から確実に私の中での安藤の色が変わっている。

 いつものおちゃらけたうるさい安藤じゃなくて、私のことを見てくれる1人の男子。

「か、勝手にすれば?」
「おう」
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