彼女を10日でオトします~裏話・番外編~
「つば、その顔面白くないから。
さっさとグラス並べてよ」

 ええええ!?
 いたって普通の表情ですけど。全くウケとか狙ってませんけど!!

 泣きそうになりながら、カウンターに出されたグラスをテーブルに運ぶ私。
 私、この子達になんかしたかな。
 すっごい嫌われてるような気がしてならない……。

 床にめり込みそうな私の耳にカウベルの音が聞こえた。
 助け舟!! 私を助け――

「なんだ、まだやってないのか」

 こ、この声は……

「皇士郎君!! 皇士郎君も呼んだんだ!
ダメダメ作者の癖にやるじゃん」

 お前かあぁぁ、皇士郎!!
 一番このシュチュエーションで来て欲しくない人が来なすった……。

 つうか、ダメダメ作者って……。
 本当の事言われると傷つくんだよ、たっしー?

「お邪魔します」と、皇士郎の後に入ってきた亜弥。

「こ、皇士郎、亜弥、久しぶり」

 と、右手を上げる私の横を素通りする皇士郎。

 無視ですか!?
 きっつー。

「皇士郎先輩、作者に挨拶しなくていいんですか?」と、亜弥。

 そうそう、亜弥、もっと言ってやれ。

「何故俺が、ゴミと会話しなければならんのだ」

 ゴミ!?

「皇士郎先輩、それは、ちょっと、酷すぎ――ひぃ!!」

 まあまあ、となだめる亜弥に皇士郎は鋭い一瞥を与え、その視線をスライドさせてようやく私と目を合わせた。

 ゴミってまさか……

「貴様のことだ、咲弥。
俺の出番を減らすとはいい根性をしているなあ?」

 皇士郎は、くっと、片眉と口角を上げる。

 こわ!!
 亜弥、ごめん。こんなやつと一緒に住まわせてしまってホントごめん。

「で、出番のことはさ、ほら、ストーリーの関係上、仕方ないじゃない。
こっちにも、顔出させてあげたでしょ、それで、良しと――」

「黙れ!! ゴミの分際で喋るな!!」

 ……私、作者なんですけど。

 そろそろ泣いてもいいですか?



 
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