御曹司は魔法使い⁉︎
私がNo.8を淹れるところを、企画部のスタッフが動画に撮る。
淹れ方を共有するためとわかっていても、緊張するなぁ。

「はい、出来ました!
熱いけど、淹れたての味を確認してください。
そしてお菓子を頂いて、少し時間を置いたところで、また味をチェックしてください。」

そう伝えた後、私はもう一度同じ手順でNo.8を淹れ始めた。

「花ちゃん、それどうするの?」

「あ、これはタンブラー用です。
ちょっとこっちも飲んでもらいたくて。
タンブラーに入れると、劣化した味がして、時間が経つことで同じ味を楽しめないことが多いんですけど、この淹れ方のNo.8だと、味の変化が少ないんです。」

そう。タンブラーに適しているのは今のところ、No.1だけなのだ。煮詰まりや酸化の進み具合が極めて少ない。
もちろん、お客様のお好みで、早く飲んでいただく事を前提として、他No.のものもタンブラーに詰めている。
No.8もタンブラーに向いているとわかれば、
その利用価値は計り知れない。

タンブラーを3つ用意した。

「この後、経過時間ごとに実際に飲んでみて味の変化を確認してください。」


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