響は謙太郎を唆す

響は、電話が切れてしまって周りをみたら、小さな街灯以外真っ暗ですごく怖くなった。

ぼんやり電車に乗ってただ終点まで座っていた。
降りて歩いて海を見ていたら遅くなって、駅に戻ったら、もともと無人駅なのにシャッターがしまり、電気は消え、うっそうと木が生えていてゾッとした。

とっくに終電の時間も過ぎていた。

なんか、変な音がしてる⋯⋯ 。

レンが電話が切れる前に、この駅に迎えに来てくれるって、でも待ってるのも怖い。
何だか足音やら何やらするみたいで、怖くて、逆に木の陰に隠れた。
しゃがんだら、草が頰にあたるぐらいだった。
結構寒い。

(でも、こんな怖くて、寒くて、余計な事を考えてる隙間もないから丁度いいんじゃないの?)と思いながら(謙太郎のこととか、)と、うっかり、逆に謙太郎の事を思い出したら、心まで痛くなって最悪の気分になった。

振り払っても、気を紛らわせても、止めようと思っても、謙太郎と紗代子とお母さんと、考えて頭がいっぱいになる。
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