誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします
第二章


「ハナちゃん、調子どう?」

「今日も来てくれたの? 百花。元気にしてるから毎日来なくても平気よ」

「私が来たくて来てるの。今日はね、結婚式の写真を持って来たよ」

「あら、見せて見せて」


写真が入ったアルバムを見せると、ハナちゃんは零れんばかりの笑顔でページを捲った。

当日の体調が悪くて式に参加することはできなかったけど、こうして写真だけでも見せられて良かった。


「素敵ね~ドレスはオーダーメイド?」

「ううん、時間がなかったから既製品」

「それでもいいわね、百花に良く似合ってる」

「そうかな、ありがとう」


なんだか、照れくさいな。

ハナちゃんがあまりにも「素敵」「いいわ」と連呼するから、同室のマダムたちが集まって来た。


「私たちにも見せてくれる?」

「どうぞどうぞ、見てやってちょうだい」


入院当初、律さんが個室に移るよう言ってくれたけど、ハナちゃんは「1人じゃ気が滅入るから」と4人部屋のまま。

おしゃべり好きな同年代の女性たちと楽しく過ごせているらしい。


「わぁ、うっとりしちゃうわね」

「でしょう!」

「新郎も素敵。良い男ね~」

「でしょ、でしょう!」

< 23 / 102 >

この作品をシェア

pagetop