あの日に置いてきた初恋の話
きみが見つめる視線の先



――〝彼〟に元気がない。

それは(から)っ風が吹く十月のことだった。


穂乃花(ほのか)、今日はどうする?」

ジャージに着替えた友達が声をかけてきた。


「今日も図書室で本を読みながら待ってるよ」

「そっか、わかった!」

「うん。部活頑張ってね」

「はいよ~」

私は笑顔で友達のことを廊下まで見送った。


萩本(はぎもと)穂乃花こと私は現在テニス部を休んでいる。正確には夏休みの練習中にケガをした右足の治療中だと言ったほうがいい。

と、言っても今月の初旬には松葉杖に頼らなくても歩けるようになったので、医者からは来月には部活に参加してもいいと言われていた。


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