お見合いは未経験
「真奈は、僕のこと嫌い?」
「え!そんな訳ないです。」
「じゃ、どうして俯いちゃうの?」
「だって…、貴志さん、すごく、素敵だから。」
貴志の目がきらっと光ったのも、真奈は俯いて見ていない。

「真奈…こっち見て。」   
貴志は両手で頬を包み込んで、真奈の顔をそっと持ち上げ目線を合わせる。
すると真奈は真っ赤になってしまった。
泣きそうに目が潤んでいる。

「どうしたの?」
「どうしていいのか、分からないんです。」
「大丈夫。真奈は僕の顔、好きなの?」
真奈はこくこくっと頷くが、頷くだけで精一杯のようだ。

口元がきゅううっと結ばれている。
そのくせ、目線を合わせようと一生懸命なのが、可愛い。

今までは、貴志に対して顔が好みだなんて言おうものなら、即座に切ってきた。
そんな皮1枚のものがなんなのだ、と思っていたし、外見だけで長続きするとも思えなかったからだ。

けれど、そんな考えを覆すくらいに、真奈は綺麗で、可愛い。

「可愛い、真奈。僕も真奈の顔可愛くて好き。今日話してみて、話しているとこも食事してるとこも、仕種も、全部可愛いって思った。」

「でも、私人見知りですし、今日も上手く話せなくて…っ」
「そんなの、全然平気。」
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